気管支喘息
気管支喘息|春日井市/高蔵寺/神領/志段味/
のじり内科クリニック
気管支喘息について
気管支喘息の概要
口から吸いこんだ空気の通り道のことを気道といいます。気管支喘息(きかんしぜんそく)は、気道(気管支)に慢性的な炎症が生じる疾患で、発作的な呼吸困難や咳、喘鳴(ぜいぜい、ヒューヒューという音)が特徴です。
気管支にダニやホコリなどのアレルゲンが侵入するとアレルギー反応を起こし、アレルゲンの侵入を防ぐための反応を示します。この反応によって気道の内腔が狭くなり、空気の流れが阻害されるために息苦しさを感じます。口をすぼめた状態では息が吐きにくい事をイメージするとわかりやすいです。
気管支喘息の増悪因子
気管支喘息は日常環境における様々な原因で発症したり、悪化したりします。原因が多いためすべて避けることができないですが、明らかに特定できている原因は避けたり改善したりすることで少しでも症状を起こさないようにしていきましょう。
以下、増悪因子としていわれているものです。
■アレルゲン(アレルギーを起こすもの);ハウスダスト、ペット、ダニ、花粉、建築に使用する化学物質など
■アレルゲン以外;風邪、花火やタバコなどの煙、鎮痛薬、アルコール、コーヒーなど
気管支喘息の症状
- 咳、痰の絡んだ咳
- 喘鳴(ぜいめい);呼吸するときのゼイゼイ、ヒューヒューといった音
- 呼吸困難感
以下の症状があると重症の可能性があります
- 会話が難しい
- 呼吸数が多くなる
- 横になると苦しい
- チアノーゼ(唇や顔色が青くなります)
- 陥没呼吸(かんぼつこきゅう)(肋骨の下がへこんだ呼吸をする)
- 肩呼吸(かたこきゅう)(肩で呼吸する感じです)
このような症状があれば「喘息発作(ぜんそくほっさ)」が起きており、発作時の吸入等使用しても改善ない場合は点滴治療や医療機関での吸入が必要となるため受診するようにしてください。症状の改善なければ入院が必要になりますし、最重症の喘息発作は命に係わることもあります。
気管支喘息の検査と診断
症状がある場合は比較的診断がしやすいですが、軽い症状であったり受診時に症状がない場合も多く、まずは問診が大切になります。特にアトピー性皮膚炎の既往歴がある人では発症率が高かったり(約2倍)します。日本人の有病率は10~20%と言われており決して珍しい病気ではありません。
- 問診:いつからどのような症状か?いつ起こりやすいか?家族歴、病歴、職歴など。
- 血液検査:ダニやホコリ、イヌ、ネコ、花粉の有無
- 呼吸機能検査:肺活量や1秒率(1秒間にどれだけ息を吐けるか)を測定
- 気道過敏性試験:気道を刺激する薬剤を使用して気管支の内腔が狭くなるかどうか
気管支喘息の治療
気管支喘息の治療の目的は①急性増悪を予防する、➁発作時に速やかに気道の狭窄を解除することの2つに分けられます。どちらも薬物療法が行われ、①急性増悪を予防する薬剤を「コントローラー」、➁発作の改善に使用する薬剤を「リリーバー」と呼びます。
重症度に合わせて使用する薬剤が選択され、コントローラーでは吸入ステロイド薬(ICS)や長時間作用型β2刺激薬(LABA)、ロイコトリエン受容体拮抗薬が挙げられます。一方、リリーバーは短時間作用型β2神経刺激薬(SABA)などが挙げられます。
コントローラーは発作が起きずにコントロールが上手くいっている場合にはより効果の弱い薬剤を使用するようにステップダウンしていきます。急性増悪を繰り返すような場合には、逆に更に効果の高い薬剤を使用するステップアップ(1剤→2剤→3剤など)を行います。このようにして薬剤を調整しながら急性増悪を起こさないようにすることを目標とします。
以下、気管支喘息の時に使用する薬剤のまとめです
長期管理「コントローラー」の第一選択は吸入ステロイド(ICS)です。これをベースにして症状にあわせて長時間作用型β2刺激薬(LABA)を併用し、それでも急性増悪が起こる場合は長期間作用型抗コリン薬(LAMA)を追加します。それぞれ吸入薬は合剤があり吸入回数が増える(吸入1-2回/日)ことはありません。分類 | 薬剤例 | 効果 | 使用タイミング | 主な副作用 |
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長期管理薬(コントローラー) | ||||
吸入ステロイド薬(ICS) | ベクロメタゾン(キュバール) フルチカゾン(フルタイド) ブデソニド(パルミコート) |
気道の炎症を抑え、症状を予防する | 毎日使用(定期的に) | 口腔カンジダ症、嗄声(声がれ) |
長時間作用型β2刺激薬(LABA) | サルメテロール(セレベント) ホルモテロール(オーキシス) |
気道を広げ、呼吸を楽にする | 毎日使用(ICSと併用) | 動悸、手の震え |
長時間作用型抗コリン薬(LAMA) | チオトロピウム(スピリーバ) グリコピロニウム(セブルエア) |
気道の収縮を防ぎ、呼吸を楽にする | 重症例でICS/LABAと併用 | 口渇、便秘 |
発作時救急薬(リリーバー) | ||||
短時間作用型β2刺激薬(SABA) | サルブタモール(ベロテック) フェノテロール(ブルカニル) |
急性発作時に気道を速やかに広げる | 発作が起きたとき | 動悸、手の震え |
吸入使用時のポイント
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吸入後のうがい
吸入ステロイド薬(ICS)を使用した後は、口腔カンジダ症予防のために必ず水でうがいをしてください。 -
吸入器の正しい使い方
息を吸い込む力によって使用しにくいことがあったり、使用感が合わないなどあるため様々なデバイス(ドライパウダー、メッシュ、スプレータイプ)があります。使用しにくいなと思ったら相談するようにしてください。 -
配合薬の役割
配合薬は単剤使用よりも治療効果を高め、使用回数を減らす目的で用います。
気管支喘息が気になるなと思ったら
気管支喘息はしっかりと吸入を行えば長期的にコントロール可能です。しかし、一度発作が起きると呼吸困難感で苦しんだり最悪命に係わることもあります。そして長期的にみて生活の質が著しく低下します。そうならないように気になる症状がある場合は受診するようにしてください。気軽にご相談いただければと思います。