メニュー

慢性閉塞性肺疾患(COPD)

慢性閉塞性肺疾患(COPD)|春日井市/高蔵寺/神領/志段味/

のじり内科クリニック

慢性閉塞性肺疾患(COPD)について

慢性閉塞性肺疾患(英語の略語でCOPD;chronic-obstructive-pulmonary-diseaseと言います)はタバコに関連の強い病気です。肺は肺胞と呼ばれる小さな袋の集まりですが、この肺胞の壁が壊れてスカスカになってしまい空気が吐き出しにくくなる病気です。空気の通り道である気管支も慢性的に炎症を起こし狭くなることで、咳・痰および息切れをするようになります。以前は肺気腫とも呼ばれていました。

街中で酸素ボンベを引いて歩いている人を見たことがないでしょうか。COPDが進行すると自力の呼吸だけでは酸素が足りず苦しくて動けないため酸素を持ち歩いているのです。遺伝性もありますが、日本人ではほとんどの人が喫煙を続けたことによりその状態になってしまいます

COPDの症状

COPDは進行性の病気です。最初は今まで問題なかった動作による息切れから始まり、徐々に活動可能な量が減っていき、最終的には酸素なしでは動けなくなる恐い病気です。

空気を吐き出すことが問題となるためじっとしている時は症状としてわかりづらいです。しかし、長い距離を歩いたり、階段を上り下りした時など、動いた時の息切れに注目することで最初の症状を見抜くことが可能です。症状の程度により治療介入するかどうか判断します。

グレード 息切れの症状
0 激しい運動時のみ息切れ
1 早足で平坦な道を歩く、または緩やかな上り坂を歩く時に息切れ
2 息切れにより同年代の人よりも歩くくのが遅い、または平坦な道を自分のペースで歩いていても息切れのために立ち止まってしまう
3 平坦な道を100m程度、または2-3分歩くと息切れのために立ち止まってしまう
4 息切れがひどくて外出困難、または日常の動作で息切れ

COPD診断と治療のためのガイドライン2022を参照

COPDの検査と診断

上述した症状と濃厚な喫煙歴、病歴などからCOPDが疑われる場合は検査が行われます。ただし病歴からCOPD疑うことはそれほど難しくはなく、ある程度診察のみで判断可能です。

鑑別診断として気管支喘息がありますが、喘鳴を伴う・夜間に多い・小児喘息の既往歴がある場合などは、より喘息を疑うこととなります。

COPDの検査
  • スパイロメトリー(呼吸機能検査)

    • COPDの診断に必須の検査。
    • 特に、以下の指標が重要です:
      • FEV1(1秒量): 1秒間に吐き出せる空気の量。
      • FVC(努力肺活量): 最大限吐き出した空気の総量。
      • FEV1/FVC比: 70%未満の場合、気流制限を示し、COPDの疑いが強い。
  • 胸部X線検査

    • 他の疾患(肺癌、肺結核、心不全など)の除外のために行う。
    • COPD特有の所見:
      • 肺が過膨張して横隔膜が低位になる。
      • 肺野の透過性が亢進する。
  • 動脈血ガス分析(必要に応じて)

    • 重症例や呼吸不全が疑われる場合に使用。
    • 酸素不足(低酸素血症)や二酸化炭素蓄積(高二酸化炭素血症)を評価。
  • CTスキャン(高解像度CT)

    • 特に肺気腫の詳細な評価に有効。
    • 小葉中心性肺気腫や汎小葉性肺気腫のパターンを確認。
  • 血液検査

    • 好中球やCRPの増加:急性増悪時に炎症の存在を確認。
    • α1-アンチトリプシン欠損症のスクリーニング(若年者でCOPDが疑われる場合)。
COPDの診断基準(GOLD基準)

COPDは、以下の条件を満たす場合に診断されます:

  1. 慢性的な症状(息切れ、咳、痰)
    症状が持続的で進行性であること。

  2. スパイロメトリーでの気流制限

    • FEV1/FVC比が70%未満で、可逆性がない場合(吸入薬使用後の検査で確認)。
  3. 危険因子への曝露歴

    • 喫煙や大気汚染、有害物質への職業的曝露。

COPDの治療

COPDでは肺胞の壁が既に壊されてしまっており修復不可能なため薬で治すということは難しくなります。そのため治療目標は悪化させないことになります。禁煙できていない人は、何よりもまず禁煙です。禁煙することが一番の治療となります。その他には症状の程度に応じて吸入薬(長時間作用型β2刺激薬・長時間作用型抗コリン薬・吸入ステロイドの3つを組み合わせる)の使用を行います。

吸入薬により、①息切れなどの自覚症状を和らげる②「急性増悪」を防ぐことが大事です。急性増悪では名前の通り感染症などを契機として症状が急に悪くなり入院を要する場合もあります。吸入薬の使用によりそのリスクを減らす効果があるとされています

COPDが気になるなと思ったら

COPDも他の病気と同様、早期発見して治療を行えば進行を遅らせることが可能な病気です。しかし、他の病気と1番違うところは喫煙をしなければ発症しないことです。他の病気は自分の力だけでは防げなかったり、医療の力を借りなければ治せないことが多いです。COPDはただ喫煙をしなければいいのです。こんなに簡単に防げる病気は他にありません。それを理解していただき少しでも減喫・禁煙の意識をしていただければと考えます。

すでに症状がある人の場合は今後の進行を遅らせるため、息切れが気になる場合はいつでもご相談してください。当院では禁煙外来も行っておりますのでCOPDの症状緩和、喫煙という原因を取り除くことも併せて治療介入させていただきますので気軽にご相談いただければと思います。

HOME

▲ ページのトップに戻る

Close

HOME